はじめに
30代になると、転職は「考えたことがある」選択肢から、「現実的なカード」に変わります。周囲の転職報告、SNSで流れてくる成功談、年収アップの話。そうした情報に触れるたびに、「このままでいいのか」という不安が刺激されます。
僕自身も、何度も転職を考えました。求人サイトを眺め、条件を比較し、もし今動いたらどうなるかを想像する。ですが最終的に選んだのは、「今は転職しない」という選択でした。これは消極的な判断ではなく、かなり悩んだ末の結論です。
転職を考えたきっかけは「限界感」だった
転職を意識し始めたきっかけは、明確な不満というより、「このまま続けるのはしんどいかもしれない」という感覚でした。
仕事量は増え、責任も重くなる。評価は安定しているが、大きく伸びる感じもしない。将来が完全に詰んでいるわけではないが、明るくも見えない。
この「限界感」は、30代の多くが一度は感じるものだと思います。20代のように気合で乗り切れない。かといって、劇的な不満があるわけでもない。その中間のグレーな状態です。
「不満=転職すべき」という思考の危うさ
転職を考え始めた当初は、「不満があるなら環境を変えるべきだ」という単純な思考でした。しかし、冷静に考えると、不満の正体は一つではありませんでした。
・疲労の蓄積
・期待値の上昇
・将来への漠然とした不安
・周囲との比較
これらが絡み合って、「今の環境が悪い」という結論に引っ張られていただけだったのです。環境を変えればすべて解決する、という考えはかなり危険だと感じました。
転職前にやった「不満の分解」
転職する・しないを判断する前にやったのが、不満を言語化することでした。
「何が嫌なのか」を曖昧な感情のままにせず、紙に書き出しました。
・仕事内容が合っていないのか
・評価に納得していないのか
・成長実感がないのか
・単純に疲れているだけなのか
これを整理すると、「転職しなくても改善できる部分」が意外と多いことに気づきます。逆に、どこへ行っても変わらない悩みも見えてきました。
今の環境で先に変えられることを全部やる
転職は最後のカードにして、まずは今の環境でできる調整を試しました。
・仕事の抱え方を変える
・完璧主義をやめる
・無理な期待を自分に課さない
・休むことを予定に組み込む
これだけで、日々の消耗はかなり減りました。「転職したい」と思っていた原因の半分以上が、環境ではなく自分の使い方だったと気づいた瞬間です。
転職しないという選択は「何もしない」ではない
転職しないと決めたあとも、何も変えなかったわけではありません。
むしろ、「今の場所でどう戦うか」を意識的に選び直しました。
・身につけるスキルを選ぶ
・評価される領域を理解する
・将来の選択肢を残す行動を取る
転職しない=停滞、ではありません。主体的に残る選択をした時点で、それは立派な戦略です。
それでも転職すべきケースは確実にある
もちろん、どんな状況でも転職しないほうがいいわけではありません。
・心身に明確な異常が出ている
・ハラスメントや不正がある
・生活が維持できない
こうしたケースでは、迷わず離れるべきです。重要なのは、「不安だから」ではなく、「理由が明確かどうか」で判断することです。
おわりに
転職しないという選択は、逃げでも妥協でもありません。
今の自分にとって、最も合理的だと判断した結果です。
30代は、選択肢が増える分、迷いも増えます。だからこそ、勢いではなく、自分の状態を正確に見たうえで決めることが大切だと思います。
転職するにしても、しないにしても、「自分で選んだ」と言える判断でありたい。そのために、立ち止まって考える時間は、決して無駄ではありません。


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